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PRINTING LAB

グラデーション×パフ の掛け合わせプリント

今回はシルクスクリーンでしかできない、特徴的な方法を掛け合わせたスペシャルなプリントのご紹介。デザインを考えてる方は、あえてプリント方法から模索する形も新しくて新鮮。少しでもヒントになれば。

グラデーション とは?

シルクスクリーンにおけるグラデーションプリントのやり方は、主に2通りあります。

1つは、数版のハーフトーン版を用いてグラデーションを表現する方法。網点の密度で色の濃淡を出すため、クローズアップして見てみると全て点々で構成されています。メリットとしては個体差なく100枚刷れば100枚の仕上がりが均一なものになります。デメリットとしては、網点の最小サイズに限界があるから、細かな濃淡の表現に限界があったり、多少潰れてしまう懸念がある。また色の構成によっては、ある程度の版数が必要になってしまうところ。まぁ欠点というものでもないけど、あえてもう1つと比較した上での違いのような認識です。


今回紹介するのはもう1つのやり方で、版の上に配置した何種類かのカラーインクを物理的に混ぜながらスキージングする方法。



使ってるインクカラーは 赤 / 緑 / 水色 の三色です。インクを混ぜながらするので、混ざったところはそのまま混ざった色に変化します。赤と緑がMIXしたところは黄色や茶色っぽく。緑と水色がMIXしたところはターコイズに。というよりにこのやり方は、かなりの色の幅を自然に表現可能。基本的には混ざる量が増えるにつれてくすんだようなトーンの落ちた色味になる傾向があります。色々な色を全て混ぜると黒くなっちゃうのと同じですね。

綺麗なグラデーションができるかどうか、ここは刷り師のスキル次第になってきます。弊社ではなるべく指定通り、もしくは自然な色の移り方を意識して手刷りで仕上げていますのでパキッとした色の変化はでないです。(あえてメリハリを出すこともできます笑)

メリットというのか、デメリットというのかわかりませんが、各色の幅や混ざり方や混ざる範囲は必ず個体差は発生します。僕にとっては1点ものっていう付加価値として楽しんでます。


そんでもって、このグラデーションの方法のいいとこは、これだけカラーに富んだデザインなのに、版数は1色分の1版で済むという点。基本的にシルクスクリーンっていうのは〈色数が増える〉 →〈 版数が増える〉 →〈1枚あたりの 生産コストがあがる〉となるもの。だけど、1版でいけちゃう!って結構アツいポイントですよね。


グラデーションをパフにする

このままでもイイ感じなんですが、デザインイメージに沿ってパフ化させました。


単色カラーのパフの依頼はちょこちょこあるのですが、実はグラデーションと掛け合わせることも可能なんです。パフっていうのは発泡プリントのこと。熱に反応してモコモコと膨らんでくるインクです。通常ラバーの仕上がりと比べると一目瞭然。印象がガラッと変わりますよね。膨らむことで元々あったエッジはなくなり、全体的に丸みを帯びた柔らかい印象になります。

色の混ざり方は同じですが、パフにすることでインク自体の色はベースカラーから若干白っぽさがでてきます。


光を受ければ、大きく影ができるほど立体的な仕上がりです。滴る水滴も、より滴感がありますね。パフにすることで、通常のラバーなどでは表現できないような立体感のあるデザインを印刷できます。


これまた製作におけるヒントですが、今まで使った版を流用できるので、「単色カラーばっかり作ってばっかだから、そろそろオレもお客さんも飽きてきたんだけど」って頭を抱えている人は、新しく版を作ることなく、こういった別の使い方もできますよ。

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    この記事の著者

    キタウラ コウジ

    1995年生まれ。wanna studio Inc. 代表 兼 刷り師。工場としての印刷業を営む傍ら、自社によるクリエイティブレーベル〈mod one〉のディレクターとして、シルクスクリーン印刷の魅力を追求 / 発信している。

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