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黒Tシャツにブラックマジックで刷る。




こんにちは。



今回のテーマはフォトグラフィックを”ブラック” Tシャツに刷る「ブラックマジック」という手法です。

皆さんも古着の1つや2つ、お持ちじゃないでしょうか。

00年代のものになると話は変わってくるのですが、グラフィックTシャツが最も輝いていた時代である90年代。あらゆるアーティストやバンドのツアーTシャツの生産を支えていたのがシルクスクリーン印刷です。スケートブランドだってそう。

ちょっといいな、と思ったTシャツも何万すんねんと思う昨今ですが、


DE LA SOULも
RED HOT CHILL PEPPERSも
Powell Peraltaも
stussyも

・・・


SNSもない時代、グラフィックTシャツは強い宣伝になり、グッズを持つ者にとってはファンである証としての価値は高いものだったはず。今でいう「ヴィンテージTシャツ」のほとんどはこの印刷方法よって生み出されていました。





ブラックマジックという手法について



さて、ブラックマジックとは何かと。


主にフォト系のグラフィックや、フルカラーを用いたデザインを黒いTシャツにプリントする際に使用されています。通常、フォントでもフォトデザインでも、黒い部分は黒のインクを刷ることで、その色を表現するものです。が、「ブラックマジック」では生地の色を使ってそれを省略する方法です。ただ、これはシムカラープロセスプリント(特色分解)において有効であって、ベタのデザインではあまり活用することはありません。(例えば、アウトラインだけのフォントにおける塗り部分を生地の色で表現することもできるので一概には言えませんが。)


それはさておき、この手法が好んで使われていたのは、明るい色の生地より重い印象を与える黒いTシャツが多様されるロックやメタルジャンルのツアーTシャツなど多いように思います。ブランドだとロゴだったりのベタ版グラフィックが多いですが、アーティスト系はメンバーの顔だったりフルカラーのグラフィックが全面に押し出される傾向があるからでしょうか。ラップTも同様ですね。

そして、そういう類の服屋さんに行けばわかると思いますが、大体黒だと思います。近くの服屋さんに行ってみてください。


工場的な目線からだと、インクジェットがない当時の現場では少しでもコストをカットするためか、なるべく色数を減らして生産性の向上を加味していたのかなーと個人的には思います。


何故黒Tシャツだけで白Tシャツを一緒に作らないのかといえば、ベタ版とは違い、黒Tシャツに刷るブラックマジック用に分解したグラフィックは、白色のような明るいボディカラーには対応できなかったからだと思っています。どういうことかは後述しますね。


どちらも、個人的な考察なので違うかったらすみません。



今回のグラフィック。






今回用意したサンプルグラフィックは、マイクタイソンが鳩を愛でているフォトをベースに、アメリカ臭いハートマークとフォント。

「make love, make peace」

なんやねんソレ。取ってつけたようなチープな仕上がり。殴られないといいですが。

イメージしたのは、アメリカのどこか、陳腐な土産屋に置いてある謎のグラフィックTといったところ。なんの深い意味も背負っていない、全然ロックでもなければギラツキも皆無です。


コレを刷っていきましょう。



”黒Tシャツ”に刷ってみる。


今回はこのグラフィックを5色構成に分解しました。






なんとなく文字はパープルの方がスーベニアっぽいかなと思って変えました。



シムカラーセパレーション(特色分解)は色数が増えれば増えるほど、微細な色を表現しようとすればするほど、細かく色を分解していく必要があります。今回は手頃な版数でお見せしたかったので5版構成に。



実際に刷ったものがコチラ。








マイクタイソンの顔や服などの黒い部分はプリントされておらず、Tシャツの生地色をもって「黒」を表現しています。黒のノックアウト効果もあり、無駄な光沢などの違和感はなく、Tシャツに馴染んだ90年代さながらのクラシックな風合いを出すことができます。


新品だけど少しフェード感のある馴染んだ風合いに近づけたかったので、使用するメッシュは密度の高いものを使用してインクの塗布量が控えめになるようにしました。



白Tシャツ”に刷るとどうなるのか。



冒頭でお話しさせてもらっていましたが、「ベタ版とは違い、黒Tシャツに刷るブラックマジック用に分解したグラフィックは、白色のような明るいボディカラーには対応できなかったから」を説明するために、このブラックマジック用に分解した版で白Tシャツにも刷ってみました。




こういう風になっちゃうんですね。

白Tシャツに同様のグラフィックを印刷するためには、分解する際に黒をノックアウトせずに作成しないといけません。ただ、既に作成した版に後から黒を足すだけだと、色々な箇所に黒インクの影響が出てきてしまうことが想定されるので、白Tシャツにもプリントしたい場合は、それを加味して事前に全体の色を調整 / 分解が必要になります。






今回はこれぐらいで。


プリントのご依頼や、この印刷方法について気になる方は是非お問い合わせください。



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    この記事の著者

    キタウラ コウジ

    1995年生まれ。wanna studio Inc. 代表 兼 刷り師。工場としての印刷業を営む傍ら、自社によるクリエイティブレーベル〈mod one〉のディレクターとして、シルクスクリーン印刷の魅力を追求 / 発信している。

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