【印論 #8】山本健太 & 安藤仁彦(THE モンゴリアンチョップス)

《 今回のゲスト 》
山本健太 氏 & 安藤仁彦 氏
THE モンゴリアンチョップス
TASF Tackle Mart
BOKU HA TANOSII
印刷工場であるwanna studioが〔プリントを頼む側・頼まれる側〕の関係を持つゲストを招いて、印刷や服飾・その背景にあるカルチャーについて語る対談企画「印論」。第八回は「THE モンゴリアンチョップス」「BOKU HA TANOSII」「TASF」など多岐に渡ってブランド・ショップを展開するデザインユニットのお二人、 山本健太 氏 / 安藤仁彦 氏 をゲストにお招きしました。大阪は新世界を拠点に、唯一無二な世界観でファンを魅了するお二人のバックボーンとモノづくりについて対談させていただきました。

ー 今の前身となるフリーペーパー制作時代・・・
コージ:今日は宜しくお願いします。健太くんは仕事でよく連絡取り合っているのですが、安藤さんは深くお話しする機会も少なかったです。僕の中でモンゴリアンチョップスの名前いう見ると、まずお二人の顔がセットで浮かんできます。改めてお二人の自己紹介をお願いしてもいいですか?
山本:モンゴリアンチョップスというブランドをやっている山本と、
安藤:安藤です。年齢は二人とも一緒で今年40歳です。ヤマケンとはデザインユニットいう形で一緒にやっています。元々は2人は服飾の専門学校の同級生だったんですけど、その時はいちクラスメイトって感じで、特別にめちゃくちゃ仲が良かったわけではなかったんやけど。俺が就職の時に大阪のPigstyっていう古着屋で働き始めたんよね。そんで、その店に俺が働いてたのを知ったヤマケンが遊びに来てくれたんよ。
山本 : 俺は当時地元の東大阪に住んでて、共通のツレのタイチっていうのがおって、それを教えてもらって、仕事終わりに遊びに行ったんよね。それがめちゃくちゃ面白くて。それまで家も遠かったし、遊ぶこともなかったけど、そこから週2になって、週4なって。
安藤 : ほんで引越しきたんよな(笑)。同じマンションの7階と10階っていう。
山本 : タイチも9階に引越してね(笑)。基本安藤の家に集まってダラダラするっていう。
安藤 : 俺は店の古着の買い付けで、一年の半年ぐらいは家におらん状態やったんやけど、家の鍵は開けっぱにしてたね。誰かがそこで遊んでるっていう。
コージ : その時お二人は一緒に仕事をしてたって訳ではないんですよね?
安藤 : そうそう。やけどリメイクの中でアイデアを出し合ったりとか、そういうのはしてたね。
山本 : みんな同じマンションで住んでたあと、俺は実家に帰るんやけど、当時服のリメイクを個人でやってて、安藤の働いていたPigstyから仕事もらったりもしたりしてたんよな。パンツから上物だったり。ちょうどそれぐらいの時期に、ESSENTIAL STOREのタクヤさんが、当時HEALTHっていうブランドをやってはって、その中のリメイクラインのMADE by HEALTHの仕事を振ってくれて。当時は顔見知りくらいやったんやけど、願ったりかなっりで。そこで服作りのノウハウを教えてもらってたんよ。
山本 : 当時は二人とも、それぞれ勤めてたから、仕事ではないんやけど、ブログとかを一緒にやってたんよ。それぐらいの時期に大鹿さんって印刷屋さんで働いてた女の子が「手伝うよ!」って言うてくれて。そこからフリーペーパーの作成を始めたんよね。「THE モンゴリアンチョップス」のちゃんとした活動としては、これが始まりだから、俺らのスタートはフリーペーパーやったんよね。確かこの辺にアーカイブもあるんちゃうかな。
コージ : えぇ〜!それは知らなかったです。やばいっすね。


山本 : モンゴリ的春の七草とか。公園行って雑草7種類集めて、めちゃくちゃやで。でも、色々な人に関わってもらって。THE UNION の耕平さんにデザインしてもらったり、インタビューさせてもらったりもしたよ!
コージ : やばー!あとで読みたいっす!
安藤 : これを知り合いの古着屋さんとか飲食店さんとかに配って置いてもらってってのを当時やっててん。これ第10回で終わったんやけど、その延長線上で、これ持ってカジカジに売り込みに行って。当時働いていたところの繋がりもあったりしてんけど、突撃で(笑)。
山本 : 当時、カジカジに白黒ページがあってんやけど、話したらそこの1ページを半年間の契約をもらえてん。そこで「半年契約調査隊」っていう、このフリーペーパーの中の訳のわからんやつの切り抜きをやったり。まだブランドをやる前やけど、この活動の中で色々と繋がりもできたし、「こいつらオモロいな。」ってなってくれたんかな。
ー ふざけたことを、全部誰にも負けへんクオリティにする
コージ :ブランド名でもある「THE モンゴリアンチョップス」っていうのは何なんですか?
山本 : 「THEモンゴリアンチョップス」っていう名前は、ツレのタイチも含めた3人が同じマンションで遊んでた時には、あったんよ。なんでも服でも何かを発信をしたくて。当時、さっき言ってたブログとかYoutubeをやってたんやけど、その前に3人でチーム名考えようってなって。ダサい名前がええなーってなって、「モンゴリアンチョップ」がええやんって。そこから「THE」つけたらバンドっぽくない?ってなって。ほんで当時は3人やったから複数形で「ス」をつけて、「THE モンゴリアンチョップス」が生まれた。でもタイチがブログのパスワードわからんくって入らんくなって、そのままなんか抜けた形になったんよね(笑)。それで今の二人って感じ。
コージ : ハハハ(笑)。抜け方それなんですね(笑)。いやぁ、でもフリーペーパーとか、その辺りのバックボーンは全部初耳でした。そんでもって意外でした。スタートはそう言うところなんだって。服作りではないこの時期の活動も、1つの「モノづくり」だと思うんですけど、このフリーペーパーにもあるアイデンティティが今のブランドにも続いているように感じます。今でこそ新世界に拠点を持つブランドの「笑い」に対する貪欲さだったり、僕目線での破茶滅茶な部分であったり。いい意味で「外した」プロダクトであったり。ただ「外す」って行為は簡単ですけど、実は全然簡単ではないですよね。


山本:ふざけたことやけど、全部誰にも負けへんクオリティにするっていうのは、今やってることも一緒かな。俺らがオモロいって思うものを、誰が見ても適当じゃないってふうに魅せる過程。簡単に掘られたくないっていうのがあって。モノづくりもやし、考えてることも。表面的に面白いんやけど、掘った先にちゃんと何かがある。そんで説明できる。さらに掘られてもまだ奥にあるっていう状態が、俺ら的に気持ちいいんよ。でも、そこまで気づいてくれる人もたまにいるんよね。でもそこまで気づいてくれる人がいると嬉しいってなる。その一方では、俺らのやってることより先にいかれるのは悔しいから負けたくない。だって俺らのやってることやから。常に考えてる。
コージ : 普段、大人の人を見てると、思うことがあって。この人確定申告とかしてんのか?って人いるじゃないですか。遊んでる部分しか見せない人。遊んでるだけに見えてたけど、裏を覗いたら、すんごいしっかりしてた。っていう格好良さ。少し似てるなーって思います。それってあくまで当たり前とも言えると思うんですけど、そこが案外面倒で避けがちな人も多いと思います。お聞きした話でいう、説明できるかどうかのところ。でもそこの見えない部分の厚みがブランドの価値を下支えしていますよね。
山本 : 「THE モンゴリアンチョップス」って名前のブランドが変すぎて。今でこそ色んなブランドがあったりするんやけど、当時はシュッとした格好いいもんがいいってされてたから、俺らがキワモノで。でも、俺らのやってることには自信があったから、いつか誰かがわかってくれるやろうって。それと、一回認めらたら、そのあとは名前なんてなんも気にならんやろって。そこを目指したいと思ってたんよね。だからこの変な名前のまま続けた感じだね。
コージ : めっちゃいいです。このアウトプットをされてきた中で、「服」ってなった理由はあるんですか?
山本 : ブログやったりしてる中でも、やっぱりずーっと近くに洋服はあったからね。俺はずっとモノづくりしたいと思ってたけど、一緒に喋ってたらオモロいものが生まれるって思った時から、服作りしたらめっちゃ面白いやんってなったし、ずっと関わっていたかったかな。「TASF」のお店なんて、僕らの趣味の釣りに全振りした店やし、面白いことをしたいっていう気持ちは全部に一貫してる。
コージ : 確かに。それでいてニッチな層も嬉しくなるものばっかりですよね。THE モンゴリアンチョップスの服作りにおいて、スタイルだったり意識しているとことはありますか?

山本 : 俺らのファッションは、コミュニケーションツールであって欲しいっていうのがある。グラフィックは、自分が好きなものをわかりやすく表に出せるしね。「BOKU HA TANOSII」は最初に作ったグラフィック3つの内の1つなんよ。そういうものを着ることで自分を表現したい。
安藤 : グラフィックじゃないところでいうと、着てて、「なんなんその服」ってなって、そのディテールとかも「こうやからこう」「なるほど」、ってなる。そこから話が生まれる面白さは大切にしてる。
コージ : そういった中で、プリントとは切れない関係性だと思います。シルクスクリーンかどうかは別として、wanna studio以外にも色々な工場さんと関わりがあると思いますが、どう使い分けされてますか?
山本 : それは、色んな角度から決めてる。最終これをどうしたいかっていう。シルクスクリーンって言ってもコージんトコロは油性やし、じゃなくて水性もあったり。表現したいところではめ込んでる。上手い下手を勿論あるけど、ここはコレが得意とか。
安藤 : 元々俺自体はバックボーンが古着やから、シルクスクリーンがまずくるかな。あと、なんやろう。手作業であったり、一番ありがたみを感じれる。実際に自分でやってみて、職人技なんやなって思える。仕事出す側としては安いのはありがたいんやけど、いつもシルクスクリーンってあれ安すぎるよな!?って言うてる(笑)。自分らでやったこともあるから、それは身に染みて感じる。使い分けで言うと、作品的なアウトプットをしたいものはワナで行きたいなっていうのはある。プリント自体が持ってる雰囲気が違うような気がするなぁ。
山本 :それと、 俺らは現場に顔は出すようにしてる。物を持っていくのもそうやし、話をしたり。何か見せてもらったり。これがどういう風に生まれてくるんかを、スタッフとかお客さんに伝えたりする。それがあったら愛着が生まれるし、お客さんに伝えた時にプロダクトに重みも感じれるし。なんやったら一回でも刷らせてもらったら、普通にはでけへんことがわかるしな。
コージ : 僕らはどちらかというとB to B の仕事で、直接お客さんに見せる機会が少ないので、僕らのやっている仕事の魅力を依頼者さんを介して伝えてもらっているのを聞くと嬉しいです。僕らのやってることは、価格云々よりも、ロマン的な要素もあるので、その魅力を色々な人に知ってもらえたらと思ってます。ありがとうございます。
ー そこに「愛」はあるんか
コージ : 最近のモノづくりのマインドについてはどうですか?
山本 : ここ何年か、コロナの時期とか、モノづくりがしんどい時期があって。ただ少しずつ抜け出せてきたかな。その中で、全てにおいて「愛」っていう言葉。そこにもう一回行き着いたというか、そのモノを作るにおいて、そこに愛はあるんかっていうのを、俺ら二人の中の指標にしてモノづくりをすると、いいモノ・満足できるモノが出来始めたかな。ビジネス的なところは俺らもわからへん。
安藤 : やったことに対して、みんながどう思うか。SNSの時代やし、そういうのがダイレクトにあって。売り上げやったりも結果として出てくる。そこを意識していたときも結構あったなって。でもそこじゃなくて、自分のやってることも然り、自分に対して自信があるのかどうか。これみんなどう思うかなっていう中で作ったモノは、今思うとあんまり良くなかったなって。コロナの時は、俺自身が色々考えすぎてたんかなーって。ファッションっていうものが、極端いらんのじゃないのかなってところまでも思ったし、そこから最初の段階に戻るのは大変やった。
山本 : 一回経験したことって、初めての時と同じぐらいにはアガれへんやん。初期衝動っていうのかな。40歳になって、ブランドが出来て13年も経って、それって普通無くなるんやけど、実はまだあるんよ。そこをやるために頑張ってる部分がある。脳汁を出したい。そんで自画自賛したい。
安藤 : 誰かが喜ぶというより、まず自分が楽しめるかどうか。その熱量をそのまま伝えるのがええんやろなって最近また再確認したなぁ。

コージ : 僕もそうなんですが、日常も含めて毎日変化するじゃないですか?その中で熱量をキープするのってすごい大変だなって思います。
山本 : 身体の健康はだいぶでかい。時間もずっと経っていく中で、気持ちがすごい調子良かったら全部いい対応ができるねんな。でもそれって健康な気がする。40歳になってより感じるし、しんどかったらテンション的な部分もアガらへんかったり。昔は一切意識せんかったけど、そういうところと、いい付き合いをするようにしてるかも。心の余裕があれば色々受け止めれるし。
安藤 : 自分に対して愛っていうものがあれば、自分を許せるし、他人にも愛を持てるんかなって。甘やかすわけではないんやけど、ただ厳しくするんじゃなくて、っていうところは前より意識してるんかなって。
コージ : ショップも拝見させていただいたのですが、なんせ一癖あるプロダクトが沢山ある中で、安牌なモノを出すことはありますか?
安藤 : 濃いラーメンが売りのところが、薄い醤油を出してもなーって。頼む人もいるだろうけど、俺らは濃いラーメンが好きなお客さんを相手にやらせてもらってるから。というよりずっとそれでやってきたし、自信もある。オンラインショップで買ってくれる人でも、「あ、誰々さんや」って。名前だけは知ってるけど、その他は知らない(笑)。たまにそういう人がお店来てくれて喋ってたら「あなたですか!」ってなったり。うちの服を着ている同士が街で声かけて、仲良くなったりって。みんなが着てるものでないから、その中での盛り上がりね(笑)。そういう俺らを好きな人を大切にもしたい。
山本 : こういうところで、ファッションは共通言語やし、面白いよね。
コージ : こういう拘りやブランドカラーがあってこそ、最初のお話でのコミュニケーションツールとして役を成してるわけですね。
コージ : 今回はありがとうございました!

— INFOMATION —
THE モンゴリアンチョップス
デザインユニット「THE モンゴリアンチョップス」が手がけるアパレルやアートの展示・販売を行うギャラリー&ショップ。ここにしかないクセの強い作品と空間は一件の価値あり。
URL :https://www.themongolianchoppsss.com
instagram :@themongolianchoppsss / @tmc__osaka
SHOP INFO
〒556-0002 大阪府大阪市浪速区恵比寿東1-7-5 モンゴリアンチョップスビル 3階
営業時間 : 1PM – 8PM
定休日 : 火曜日 / 水曜日
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TASF Tackle Mart
TASFオリジナルのアイテムや、90年代のUSED/DEADSTOCKのルアー、バス釣りの本場アメリカで買い付けた古着など、釣りにまつわる面白いものをギュッと詰め込んだ釣具屋さんです。
URL :https://www.tasf.fishing
instagram :@tool_assist_super_fishing
SHOP INFO
〒556-0002 大阪府大阪市浪速区恵比寿東1-7-5 モンゴリアンチョップスビル 1階
営業時間 : 1PM – 8PM
定休日 : 火曜日 / 水曜日 / 木曜日
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BOKU HA TANOSII
「楽しい気持ちは万国共通」を掲げるプロダクトブランド BOKU HA TANOSII の日本唯一の直営店です。新世界観光の途中に、ボクタノオリジナルのコーヒーでホッと一息していってください。
URL :https://store.bokuhatanosii.jp
instagram :@bokuhatanosii
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〒556-0002 大阪府大阪市浪速区恵比寿東1-16-16 前田マンション 1階
営業時間 : 1PM – 8PM
定休日 : 火曜日 / 水曜日
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