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足跡!アート研究所 【#7 重なりと特色分解】




ミナサマコンニチワ


最近はふと気が付けば9月も終わりを迎え、今年も残すところ2ヶ月ほどになっていることにびっくりしています。
とはいえ、なんともじんわり暑い感じが拭いきれない気温が続いて、9月終わっちゃってるのにまだTシャツをきて日中を過ごしている自分の内心で本当に秋はくるのかと思ってしまうくらい、スカっと涼しく気持ちがいい日が少ない様な気がする。暑いから寒いに変わるあの間の気温を早く味わいたいと、日々待ち遠しい気持ちで過ごしています。


という感じで、今回も色々と試行錯誤しながら試して見たかったことをプリントに落とし込んでみました。今回は一度自分で描いた原画を元にデータ化して、再構築していったりと細かい表現と多色使いになったので、5版を以前のようにせっせと作って構成を考えながら進めていきました。



まずは実際に描いたモノがこちらです↓








僕が作業服に直接描いたこの絵は着込んで、少しずつ今の様な感じで擦れたりした色味と表情が自分の中で気に入っていたので、今回はこのイメージを再現できるように刷ってみました。

そしてこの状態の絵の雰囲気を再現できる様に、今回は「特色分解」というハーフトーン(網点)を使った方法を使います。同じハーフトーンを用いるもので「四色分解」というものがありますが、これは全ての色をC / M / Y / K に分解する一方で、「特色分解」は特色(特定のPANTONEカラー)に分解してハーフトーン化→構成します。

使うインクは普段使っているインクの色の濃度をクリアベースのインクで調節しながら、色味を確認して用意したインクを使ってみました。






こんな感じで決まった色を、ベタ版のように順番で刷っていくことで、段階を踏んで徐々に完成へと向かっていきます。更に今回は原画をレイヤー毎に分解したものを重ねて刷っていく最中、デザインの点も細かいため少しズレただけでも完成度にブレが出てしまうので、5版それぞれの位置を合わせるのにも気を使って進めていかないといけないのだ。




この特色分解のメリットとして、各色のハーフトーンの角度や重なり具合の調整で、原画のように色の混ざった様な細かい濃淡(グラデーション)や陰影の表現を可能にしています。今回のデザインだとオレンジのインクは使っていないですが、イエローとレッドの各ハーフトーンの相乗効果で視覚的にオレンジに見えるのです!これはパスで構成したベタ版ではできないもの。


ここから最後に黒色が入ると完成となる。↓





今回インク自体の透け感が出る位まで色の濃度を調色したことによって、シルクスクリーンの良さを活かした再現度の高い仕上がりにもっていくことができました。


そして今回は、少し仕様を変えたフロントのデザインも合わせてロンTにプリントしてみました。




写真のようにフロントのデザインはあえて、それぞれのレイヤーをずらした仕様にしてみました。

デザインテーマとしてはEnable(可能にする)という部分で視覚的にはそれぞれのプロセスが混ざり合い、最終的なもの(ここではバックのデザイン)を構築することができるというのを表現しました。一つの目的とするものに向かって様々な経験や準備を重ねることによって、それらが自ら求めていた以上の結果に繋がるという部分をイメージしました。







濃色のネイビーカラーのボディには、アンダーホワイトを刷ることでデザインの色が沈まないようにしました。回はいい意味での違和感が出ればいいかと思ったので、少し普通よりは外した位置に。同じデザインでもプリントする場所を少し変えるだけで、服としての印象って結構変わるんですよね。



元々直筆で書いた絵を、シルクスクリーンであえて分解→再構築することで、僕としても最初はなかった作品としてのテーマが浮かんできたり、デザイン的な遊びができたかなーと思います!





ではまた次回!👋




この記事の著者

MUU

1995年7月生まれ、生粋の夏男。wanna studio に刷り師として所属。絵描きとして様々な色を取り入れたポップなテイストを特徴としたアーティスト活動を行っている。

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